抱き締めたいのに、なぜか明菜の体に腕を回すことが出来ない。


自分が明菜の彼氏でいることに自信をなくしかけているのかもしれない。


今までクヨクヨしたことなんて一度もないのに……。


「……早く寝ろよ?」


俺は明菜の肩を掴んで、体を引き離した。


「龍心……?」


明菜、ごめんな。


少し気持ちの整理をさせてくれ。


悲しそうな表情で俺を見上げる明菜の視線に耐えきれず、俺は無言で明菜に背中を向けて歩き出した。