大虎が明菜にちょっかいを出し始めてから、何かが狂い始めた。


今まではどんな男にも絶対に負けないと思っていたのに。


それくらい明菜への気持ちは大きかった。


「そんな顔すんなよ……」


でも今、目の前に立っている明菜の表情は暗い。


今にも泣き出しそうな目をしている。


「……龍心こそ……、そんな悲しそうな顔しないで?」


そう言うと明菜は俺の胸に飛び込んできた。