「ごめんね。全部、あたしのせいなの……本当にごめんね……」


つらそうな表情の明菜に気付いて、自分がますます惨めになる。


この時の俺は、大虎の言うとおり全く余裕がなくて。


こんなはずじゃない。


何もかもがうまくいかなくて、その怒りをトイレの壁にぶつけた。


壁を蹴ると、ドンッという鈍い音がトイレに響き渡る。


「やってらんねぇ。いくぞ」


俺は大虎から逃げるように、明菜の手を引っ張ってトイレから連れ出した。




「龍心………勝手な事してごめんね……?」


「――……もう寝ろ」


明菜の部屋の前に着くと、俺は掴んでいた手をパッと離した。