その声のする方向に目を凝らすと、二人の男女が走り出した。



「明菜………?」


後姿だけで明菜と分かってしまうなんて、自分は心底明菜に惚れているようだ。


でも一緒にいたあの男……。


大虎に見えた。


見間違いかもしれない。


だけど、心臓が俺のことを急かすように鳴り出す。



俺は二人がトイレに飛び込むのを確認し、ゆっくりと歩き出した。