「明菜は杉崎君のこといいと思わないの?」
「ん~……、あたしは興味ないな」
「も~!!それってノロケですかぁ~?『あたしには龍心さえいればいい』ってこと?」
あたしの言葉に瑞穂は露骨に唇を尖らせる。
「違うって!そういうんじゃないよ!!」
確かに龍心がいるから、といったらそうかもしれない。
あたしにとって大切なのは彼氏である龍心だけだから。
「まぁ、まだ着かないみたいだし、少し仮眠して体力温存させとこ?」
「だね」
これから体力を消耗する山登りが待ってるし、少し休息を取った方がよさそう。
あたしはゆっくりと目を閉じた。
そして、そのまま一定のリズムを刻み走り続けるバスの揺れで、すぐに深い眠りに落ちていった。