そう言ってみても明菜の機嫌は一向に直りそうにない。


俺を上から鬼のような形相で見下ろして、腕組みしている。


ったく。しょうがねぇな。


「明菜、耳貸して?」


「何?ご機嫌取りしても、無駄だよ?」


少し怒りながらも素直に腰を屈めて、俺の顔の近くまで自分の顔を寄せる明菜。


「俺が好きなのは明菜だけだから」


「……――っ!!」


耳元でボソッと呟き、耳たぶをペロッと舐めると、明菜は慌てて俺から離れた。