オレの体は、 動くことを拒み、 静かに彼女を見つめ続けることを望んだ。 このまま、 ずっと、 動けなくてもいい。 額にある、彼女の体温だけで、 十分だ。 「秋山は、どうして生きてるんだ?」 涙に濡れた声で聞いてきた冬月さんは、 ただ、 凛と、 月を見上げていた。 それは、 きっと、 オレに向けられた言葉ではないのだろう。