なるだけ早く、近日中に。


 俺は午後四時に会議が終わったので、また社長室で一仕事して、仕事が終わった段階でカバンにパソコンなどの必携品を入れた。


 帰る準備を整え、部屋を出る。


 俺はエレベーターホールまで歩いていき、階下にあったエレベーターを待つ間、ゆっくりと呼吸を整える。


 基本的に俺は猛烈に働く方じゃないし、むしろスローペースに近いのだった。


 毎日書類に目を通すか、パソコンで資料を作るかだったが、俺はそんな単純作業にも慣れきっている。


 エレベーターに乗ると、ガラス張りの窓越しに六本木の街が見えた。


 俺は革靴の下が蒸(む)れているのを感じながらも、ボックスが一階に着くのをじっと待ち続ける。


 そして思っていた。


「優紀子のやつ、俺が帰ってきたらどんな顔するだろうな?」と。


 確かに正月は男と過ごしているのだ。