「うるさいのよ!」


バンッ、と机を叩く音。


キレたあたしの方が逆に驚いてしまったけれど、でももう引くに引けない。



「アンタさ、何なわけ?
勝手にうちに入り込んできて、人の世話焼いて、鬱陶しいってわかんないのかよ!」


「アンナ!」


お兄ちゃんは制止するが、



「どうせ邪魔なのはあたしなんでしょ、勝手にすれば良いじゃない!」


積もり積もったものを、もう自分では制御しきれなかった。


そのまま逃げるように実家を飛び出して、わんわん泣いていると、



「待ってよ、アンナっち!」


息を切らした亜子が追ってきた。


こんな顔なんて見られたくないとは思ったものの、捕まって、どうすることも出来なくなる。


彼女は呼吸を整えながら、



「ちょっと話しようよ。」


と、すぐそこの公園を指差した。


泣き顔で不貞腐れたまま何も言わずにいると、強引に腕を引かれる。


ベンチに座らされ、亜子は自販機で買ったコーヒーの一本を差し出してきた。



「あたしね、実は風俗してたんだ。」