あれから数日が経ち、優心から一通のメールが届いた。


でも、あたしは返信することも出来なかった。


それから季節は12月を迎え、一層寒さばかりが増していく中で、両親から電話をもらったのを良いことに、久々の実家へと足を運んだ。


いや、正確に言えば、ミツと一緒に暮らし始めてから、戻ってきたのは初めてなのだが。



「アンナってば、全然連絡してこないんだから!」


「そうだ、そうだ。
とにかく久しぶりなんだし、ご飯を食べていきなさい。」


ふざけたことに、今日は鍋らしい。


どうしてあたしが、最愛のお兄ちゃんのカノジョである他人の女と、同じ食卓を囲まなくはならないのか。


23にもなってギャルで、おまけにこのクソ寒い中でヘソピつきの腹を出している女なんかと。


結局実家という居場所さえ奪われたように感じてしまう。


そうだ、元はと言えば何もかも、この女が悪いんだ。



「アンナっち、やっぱ久々に会っても相変わらず細いよねぇ。」


お兄ちゃんのカノジョである亜子は、感嘆しながらあたしを見た。



「肉を食え、肉を!」


そして何故かあたしの小皿に山盛り入れられるそれ。


迷惑以外の何者でもない。


彼女は親しみやすいキャラと犬みたいな笑顔で、すっかりこの家の中に溶け込んでいた。


だからまるであたしの方が他人みたいだ。



「でもマジで羨ましいっていうか、あたしもこういう妹なら欲しいもんねぇ!」


顔を俯かせたあたしを気にすることもなく、隣から亜子はベラベラと話しかけてくる。



「ねぇ、カレシとかいるの?」