言葉の意味がわからないほど子供ではない。


ミツはひどく傷ついた顔で、これがどういうことなのかはすぐにわかった。


裏切った女への当て付けであり、一瞬でも苦しみから目を逸らしたいだけのこと。


つまりはあたしは、そのための道具であり、一番手近な存在なのだ。



「良いよ。」


けど、気付けばそう言葉を発していた。


例え心が通じなくとも、誰かの代わりでも良いからミツに抱かれたいと、ずっと望んでいた。


今、それが叶うんだ。


なのにふと頭をよぎったのは、優心の顔。


ミツは乱暴にあたしの体を貪り、まるで苛立ちをぶつけるように押さえ付ける。



「…どうしてだよ、琴音っ…」


吐き出すように言った、彼女の名前。


セックスってこんなにも、心や体が痛む行為だったっけ。


普段はひどい言い草ばかりの優心だけど、絶対にあたしをこんな風には抱かないし、決して無理やりなんてしないのに。


琴音、琴音、琴音、と繰り返される度に、聞きたくないと首を振った。


それでもミツはあたしの体内に押し入ってくる。


薄っすらとその瞳に涙を浮かべながらも、罪悪感でいっぱいの顔をしないでほしい。


あたしを見ようともせず、頭の中は結局は、あの女のことばかり。


自分が望んだことだというのに、傷ついているあたしはやっぱり大馬鹿だ。


ミツはあたしのお腹の上に白濁した欲望を吐き出した。