あの日から一週間、あたしは同じ部屋で暮らすミツを微妙に避けている。


と、いっても、顔を合わせれば普通に会話をするし、ご飯だって今まで通りに準備をしているけれど。


でも、最低限のこと以外は話さないし、食事時になると、適当な理由を見繕って、友達と会ったり、優心の部屋に逃げ込んだり。


だってそうでもしなきゃ、余計なことを口走ってしまいそうで怖かったから。


正直今でもまだ、琴音という女は嫌いだし、さっさと別れれば良いのに、という気持ちは残ってる。


だからこそ、自分自身の気持ちを整理したかった。


優心はもう、何も聞いては来ない。








「何かアンナとこうやって喋るの、すごい久々じゃない?」


本当に久しぶりに食卓で顔を突き合わせると、ミツはいつもと変わらぬ笑顔を向けてくる。


こういうのに弱い自分が一番ダメだとわかっているのに。



「そ、そうかなぁ。」


「そうだよ、俺寂しかったんだぞー。」


そしていつも通り、茶化したような言葉で小突かれる。


ミツが無意識なのだとわかっていても、期待させるようなことを言われるのは、正直辛い。


忙しかったのよー、なんて愛想笑いだけを返し、あたしは肉じゃがを口に放り込んだ。


決して好きじゃない料理を作るという行為さえ、この人のためだと発起して始めた自分はやっぱり馬鹿なのだろう。


どんなに上手くなったところで、ミツは振り向いてくれるわけでもないのにね。


ちょうど一週間前、ここにあの女がいたことを思い出すと、今も胸が軋むけれど。