「行っちゃった・・・和彦くん」

急にどうしちゃったんだろう。

私、何か変なことでも言ったのかな?


開けていた窓から、小鳥が一匹入ってきた。



―――あの態度を見れば、すぐに気付くと思うんだけどな――――



「態度?・・・全然気付かないよ?」


小鳥が首をかしげる。


―――君、僕の声が聴こえるの?―――


「うん、聴こえる」


小鳥はうれしそうに私の頭上を飛び回る。


―――なんだかうれしいな。僕、人間としゃべってみたかったんだ――――


「そうなの?動物は人間を憎んでいると思っていたけど・・・」

動物園の子はほとんど人間を憎んでいたりとか、怖いものだと言っている子達が多かった。

―――憎んでなんかないよ。君みたいな人間もいるしね―――


小鳥は私の肩に止まる。

―――君の名前は?―――

「璃音」

―――リオン、かぁ―――

小鳥は飛び立った。

また会えるといいね、と言い残して。




私は心の声が聞こえる。


もちろん、動物も。

人間も。

時には植物も―――・・・。


たまに相手の記憶を見るけど、いいものばかりではない。

悲しい過去を見ちゃった時は必ず、
なんで見えちゃうんだろう。なんで聴こえちゃうんだろう。
って思ってしまう。

そんなこと思っても仕方ないのに。



カタン



後ろから物音がした。

もしかして・・・さっきの会話聞かれた??

急いで後ろを見る。

そこにいたのは、なんとも意外な人物、同じクラスの上耶 秀二。

上耶君は、すごく変な人。

授業中とかいつもパソコンしてるし、
誰とも口をきかないし、
クラスの人達からも、不思議な存在として、ある意味浮いていた。