あわてて逃げようとしてけど片足でしか歩けないから由君にすぐつかまってしまった。

「どうしたの?!逃げることなくね??」

『いや…千佳がいるし…手当てが終わってないと思って…びっくりしちゃっただけ…』

あたしはうつむきながらそう答えた。
うっかりしたら、聞いちゃったことを言いそうになっちゃったから…

「もう入ってもいいと思うよ。つか、足大丈夫か???」

由君はあたしの事を心配してくれて保健室で手当てをしてくれた。
…千佳の前で。

あたしは心から嬉しかったけど千佳の悲しい笑顔が気になって仕方なかった。
あたしの手当てが終わった後、千佳は「先に帰るね!」と言って帰ってしまった。

膝と肘をすりむいただけだったから…

「「・・・・・。」」

千佳が帰った後、由君と沈黙が続いた。なにかぎこちない雰囲気に包まれていて、
何を話せばいいかわからなかったからだ。

そんな沈黙のとき、思いついた話題はどうしても顔が赤くなる話題だった。

『ねえ…!!…好きな人って誰…?』

言ってから相当後悔したと思う。
だって、すっごく顔が熱くなったのを感じたから…

由君は、えっ??って顔をした後、

「ええ~…ヒミツ♪」

とウインクをしながら言った。
ちょっと不満な答えだったけど、ウインクされて不意にドキッてしまった。

あたしは頬を膨らませながら

『ちょっと~!!!!!』

と叫んだ。