「あのぅ…」 「大丈夫だったかい?」 そこへ、処置を終えた男の子が処置室からでてきた。 「僕は大丈夫だから、その子をそんなに攻めないでっ」 「空くんは優しいね。ほら亜也、ちゃんと謝りなさい」 「ごめん…、なさい」 そう言うと、男の子はニッコリと笑った。 そして、看護婦さんと一緒に病室に戻っていった。 ―空くん あたしはその日から、空くんという男の子のことが気になってしかたがなかった。