この小児科という病棟が苦手だったあたしは、足早にエレベーターへと向かった。

そのときだった。

偶然に角から歩いてきた同い年くらいの男の子と鉢合わせして、それに驚いたあたしは男の子が引いていた点滴につまづいた。

ガシャーンと点滴が倒れる音が病棟に響いた。


「痛っ…」


点滴の管が勢いよく引っ張られ、男の子の腕には少し血がにじんでいる。


「空くん!!」


看護婦さんが駆けつけて、男の子は処置室に入っていった。

そこへ、さっきの音でお父さんが駆けつけた。

ため息をつくと、あたしはお父さんにこっぴどく叱られた。