「――祠稀がいない?」


その声にバッと顔を上げると、チカも俺と凪に視線をよこした。


「なんで……ちゃんと探した? ……けどじゃないよ! 祠稀から目を離すなって言ったじゃん!!」


チカの初めて聞く張り上げた声に、緊張にも似た感覚が体中を縛る。


大きく溜め息をついたチカは、額を手で覆った。


「分かったから、探して。……リーダーの祠稀が捕まったら、何もかも終わる」


チカは電話を切るなり、立ちあがる。


その表情は、焦りか怒りか。どちらか分かりづらいけれど、確かに不安だと言っていた。


「祠稀がいなくなったって。僕、探しに行かなきゃ」

「あたしも探す!」


そう言った凪にチカは悩んでる様子だった。


それを感じた俺は立ち上がり、伝票を持つ。