「……危ないの?」


呆然とする凪が、俺の代わりに聞いた。チカはカフェオレに手を伸ばして、頷く。


「手術しないと、死ぬかもしれないんだって。それだけ教えてくれた。病気のことは、あまり話したがらないんだ」


祠稀の話ばっかりするんだよ。そう言いながら、チカは悲しそうにしていた。


凪は、何か言おうとした口を噤んで、俯いてしまった。


……そのことも、早く言って欲しかった。だけど、それを聞いたところで、俺たちは何ができるだろう。


手術しなければ、亡くなってしまうかもしれないという祠稀のお母さん。


なんで手術をしない?


祠稀は自分で、軽く金持ちだと言っていたのに。それほど大きい手術なんだろうか。


「……祠稀に言わなきゃって、思ってはいるんだけど。祠稀がこの世でいちばん嫌いなものって、多分、家族だから。今言ったら、逆効果かと思って……」

「言うべきだよ」


チカの弱々しい声とは相反して、凪の強い口調が空気を切り裂く。