「大丈夫。絶対、大丈夫だから」


そう言うと、彗もチカも、あたしを見つめた。


「大丈夫だよ、チカ。彗も、大丈夫。今ならまだ、間に合う」


壊れたなら、直せばいいよ。


信頼も、友情も、絆も。


失くしたなら……最初からないというなら、作ればいい。何度だって、やりなおせる。


自分自身が、諦めなければ。



「……うん、凪の言うとおり。俺らがなんとかする。チカも、手伝って」


ぎゅっと握り返してきた彗の手は、もう震えていなかった。


「あたしたち、今まで何回も乗り越えてきたから。心配いらないよ」


チカはフードの縁を軽く捲って、疑うような目を向けてくる。


だけど次いで見せてくれたのは、安心したような笑顔だった。


「やっぱり変な人だね……凪も、彗も」

「変じゃないよ、失礼だなっ」

「……ありがとう」


そう呟いたチカに、あたしと彗は微笑んだ。


大丈夫。


もう誰も、ひとりじゃない。
ひとりには、させない。


助けるとか、そんな大それたことは言えないけれど、支えて、共に歩むことはできるはずだから。


大丈夫。大丈夫。


そう、何度も自分に言い聞かせた。