「僕は一生、祠稀について行く。たとえ、その果てが幸せじゃなくても、今やってることが、間違ってると言われても。僕の光は祠稀で、僕は祠稀と一緒にいることが、いちばん幸せだから」


目が合ったチカは、寂しそうに、悲しそうに、微笑んだ。


「そう、思ってるんだ……ホントに」


苦しげに眉を寄せたチカは慌てたように、フードを被る。


深く深く、顔が見えないように。


「祠稀は、誰よりも強い。誰にも何にも、屈服なんてしないって思ってる。滑稽だと言われても、祠稀は……っ僕たちは、もがくことしかできない。……そうすることで、しか、生きられないから……っ」

「……チカ?」


チカのつまづく言葉が、震える声が、泣いてると思わせた。


「祠稀は、強いんだ。負けるなんて、ありえない。僕たちを見放すなんて、絶対にしないのに……っ。僕、祠稀に捨てないでって、何回も言っちゃったんだ……」

「……、」

「祠稀は充分、僕を守ってくれたのに、そばに置いてくれてたのに……不安で、怖くて……僕の存在を、威光の存在を、今よりもっと押しつけた……っ」


チカは顔を上げた。眼深に被るフードのせいで、表情は分からない。


だけど、頬には涙が流れていた。


「僕のせいだ。躍起になってるんだ……。威光を守ろうとして、僕を、捨てまいとして……っ、いつもなら僕に任せることも、やりだして……停学中なのに、がむしゃらなんだ。……僕じゃ、止められない。止める権利がないっ」