「2日前、祠稀が帰ってこなかった日、あるでしょ? ……俺が、夜コンビニに行くって言った日。あの夜、本当は祠稀を探しに行ったんだ」
「……え? でも、彗、何も……」
「大雅が言ってた通りのことをしてたから、凪には言わないって決めたんだ。……その時、チカと会った」
「……」
「祠稀が来て、お前らには分からないって言われた。話すことはないって……帰れって言われたんだ」
言い切ってから目を伏せた彗は、怒っていた。だけどやっぱり、悲しみを帯びていた。
ひとりで祠稀を探しに行ったの? 言ってくれてよかったのに……。
そう思っても、あたしに彗を責めることなんてできなかった。
「祠稀……本当にそんなこと言ったんだ」
ぐるぐる考えているうちに、チカがぽつりとこぼす。
どことなく嘲笑を含んだそれに目を遣ると、チカは手で両目を覆い、うなだれていた。
「どうりであの夜から躍起になるわけだよ……」
「……どういう意味?」
彗が尋ねればチカは俯くのをやめ、口の端を上げた。取り外した目隠しの奥で、黒味の勝った瞳がすうっと細められる。