「ほぼ毎日続くもんだから、痣も怪我も治らなくて。学校にも行かせてもらえなくて、ずっと家に閉じこもってたんだ。そしたらさ、僕でストレス発散した後、ふたりはセックスするんだよ。見たくないし、聞きたくもないし。だから夜は、外に出たんだ」


心臓が、誰かに握られたみたいに痛くなった。

ドクンドクンと脈打つ鼓動は感じられるのに、体温は下がっていく気がする。


「最初の頃はふらふら歩いてるだけで、そのうち、夜なのに明るい場所を見つけたんだ」

「……それが、あのネオン街?」

「あはっ、やっと喋ったね。そう、あのネオン街」


黙っていた彗が問いかけると、チカは窓の外を眺めながら背もたれに寄りかかった。


「みんな笑ってた。真っ暗な夜だったのに、あの街だけは輝いてた。傷だらけの僕を受け入れてくれて、優しくしてくれた。……まあそんなもの、嘘だったけどね」

「……どういうこと?」


あたしが聞くと、チカは「うーんとね」とフードをより深く被り、俯いた。