「……とりあえず、どこか入らない? 僕、目立つの嫌いなんだ」
フードをより深く被るチカを見てから、あたしは校門を出る生徒たちに見られてることに気付く。でも彗は、まだ疑うようにチカを見ていた。
「僕が今日凪に会おうと思ったのは、祠稀の居場所を教えるためじゃないから。安心してよ」
「……じゃあ、なんのために会いにきたの」
そう聞いた彗に、チカはわざとらしく肩をすくめた。やっぱり、どこかしら祠稀と雰囲気が似ている。
「闇夜の威光の話をしに、かな」
その言葉に、あたしも彗もうろたえた。チカだけは「彗も一緒に来る?」と、くつくつ忍び笑っていたけれど。
「ずっと、気になってたでしょう? 威光がなんなのか、何をしてるのか。どうして祠稀がリーダーなのか。……今は、僕と祠稀がどうして知り合いなのかも、凪は知りたいよね」
早鐘を打つ心臓のそれを抑えきれない。
チカは、威光のメンバーなんだ。チカが言ってた、たったひとりだけいる大切な人は、祠稀のことだ……。
どうしてそうなったの? 威光って、なんなの? 知りたい。でも……。