「……俺は、迎えに行こうなんて思ってないし、凪にも行ってほしくない」
「……」
彗の気持ちが、分からないわけじゃない。あの日の祠稀に、彗が投げ掛けた言葉。
『嫌いになりそうだ』
それはきっと、あたしが傷ついたと思ったから。
でも、彗自身も傷ついたから言ってしまったんだと思う。
彗は、祠稀にとても助けられたはずだから。左手首の傷を、守るように。癒されるように。リストバンドをもらって、根性焼きを笑って見せてくれた祠稀だから。
彗は自分でも気付かないくらい、祠稀のことを慕ってる。
きっと初めてできた、同性の親友になりえる存在。
祠稀が何かに悩んでいるなら、助けになりたい。でも、祠稀は拒否するばかりで。
それが悲しくて、怒りにもなって。
どうすればいいか分からないんでしょう? 彗。