「まさかチカって、祠稀の弟!? 兄貴がココアにハマってるって言ってたじゃん!」

「ああ……ううん。違う。あれは、兄貴として慕ってるって意味」

「……なんで君が、凪と知り合いなの」


黙っていた彗が呟いたひと言に、あたしは再び疑問が浮かぶ。


どうして彗がチカを知ってるのか。それを聞く前に、チカが口を開いた。


「僕だって昨日知ったんだよ。凄い偶然。まさか凪が、祠稀の同居人だったなんて」


その言葉に、ものすごいスピードで胸がざわついた。その勢いのままチカの腕を掴む。


「祠稀が今どこにいるか知ってるの!?」


チカが、彗と祠稀と顔見知りである理由よりも、あたしは祠稀の居場所を知りたかった。


よほど必死な顔をしていたのか、チカはあたしの手をそっと除けて、困った顔をした。


「教えてあげてもいいけど、彼……彗っていうんだっけ? 許してくれなそうだよね」


その言葉に彗を見ると、あたしは眉を下げることになった。


「君も、祠稀の同居人だったんだ?」


チカがそう尋ねても、彗は拒むように目を逸らす。