――…


「じゃあね有須。部活頑張って」

「うん、ふたりとも気をつけて帰ってね」

「……ばいばい」


放課後、部活の有須と別れ、彗と一緒に下駄箱に向かう。


「じゃあ、今日は飯いらないんだよね?」

「うん。出前か何か頼んだら? たまには有須が食べたいもの食べてもらったほうがいいし」

「ん、そうする」


素直に頷く彗の頭を撫で、昇降口を出る。


「今日会う友達って、そんなに仲いいの?」

「んー……あたしが一方的に仲良くなりたいだけかな。今度ってか、彗も一緒に来る?」


「俺?」と不思議そうにする彗に笑いながら、チカの話をしようとした時。ふと校門に目を向けて、驚いた。


「うっそ……彗っ! あの子だよ!」

「……え?」


顔を校門のほうに向けた彗を置いて、駆け出す。相変わらず黒いパーカーを着て、フードを被る後ろ姿。


校門を出ていく生徒を眺めるチカの前に、あたしは飛び出した。