「危ないことなんてしないよ。俺、自分の命のほうが大事」


くすりと笑う大雅の背中をつねった時、ブレザーのポケットに入っている携帯が震えた。


「何すんの」と睨んできた大雅に「ムカついたから」と返しながら、携帯を開く。


「あ!!」


あたしの大声に、ふたり共ビックリする。思わず口が緩んだあたしの後ろから、遊志がメールを読み上げた。


「会、え、る、よ、……チカァ? 誰やねん!!」

「何見てんの? 友達だよ、最近知り合った男の子」

「男!? アカンで凪ぃー! 俺も一緒に遊ぶ!!」

「なんでよ。ただの友達だし……てか邪魔! 返事打てないでしょ! 大雅っ」

「遊志、ここから突き落とされるのと、背負い投げされるのだったら、どっちがいい?」

「え……それ変わらへんやん。大雅コワッ! 鬼やな!」


じゃれ合ってるようにしか見えないふたりを無視し、あたしはチカに返信をする。


なんとなく、祠稀に似たチカに会いたくなって、朝に≪今日の夕方会える?≫と、メールを送っていた。


「ご飯、食べに、行こう……コンビニで、待ち合わせ……ね。よし、送信!」


チカにメールを返して、携帯を閉じた。チカに会える。それだけでも、落ちていた気分が少し上がった。