◆Side:凪


「祠稀が出てっ……痛い!!」

「声がデカい!」


他の生徒は授業を受けているだろう時間に、あたしは同じくサボっていた遊志と大雅と共に、屋上にきていた。


「俺ら以外誰もおらへんやん!」

「遊志の声の大きさがウザいだけだよね、凪ちゃん」

「ああそう、それ」

「なんなん!? 俺の声のデカさは、遊志の元気印やんけ!」

「黙れ。で、なんで出てったの?」


泣くふりをする遊志を無視して、あたしは眉を寄せる。


「有須が言うには、気まずいからって。とりあえず謹慎中はって言ってたみたい」

「へぇ。あの俺様が気まずいって。そんなこと気にするタイプじゃないでしょ」


ほんと大雅って一言余計だな……。


「はぁ……有須に悪いことしたなぁ」


そう空を仰いだあたしを、遊志と大雅が見つめてくる。


……有須、泣いたんだろうな。


話してくれた有須の目が、赤かった。


あたしも彗も、今は何をしても仕方ないと思っていて。有須もそれは分かっていたはずなのに、自分がなんとかしようとしてくれたんだ。


でも、何も変えられなかったと、泣いてしまった。