「バカ! 何考えてんのよ!!」


そう叫んだ凪の声は、震えていた気がする。


「なんの騒ぎだ!」


静寂に包まれた空気を裂いたのは、先生の声だった。


「っ……なんだこれは……お前がやったのか? 日向っ!」


見ると、祠稀は上半身を起き上らせていて、そのそばに凪と彗が座り込んでいた。


床に倒れていた生徒がよろめきながら上半身を起こした瞬間、祠稀が呟く。


「だったら何?」


突き放すように言う祠稀の表情に、戦慄が背筋を走り抜けたのはあたしだけじゃない。


明らかにいつもとは違う、恐ろしささえ感じる、人を圧倒するオーラは周囲の口を閉ざさせる。


蒼く光る長髪から覗く切れ長の瞳の底に、残虐さを垣間見た。


「……っ喧嘩の原因はなんだ! おい、大丈夫か!」


血まみれの顔を先生に覗きこまれた生徒は、「知るかよ!」と叫んだ。