「……スマイルくんの模様とかー、スイカの模様とか見たんだよ!あとねぇ……」



これ以上ないってくらいにはしゃぐ希咲に、曖昧に相槌を打つ。

―…心ここに在らず。

バカみたいに空回りしてやんの。


この前だって結局、美海には素っ気ない態度とられるし。

それくらいで落ち込んでるあたり、俺は乙女かって。





「あっ、音弥くんだ」


意識とは関係なしに耳が反応した。
しかも言葉まで。

……って、俺は恋する乙女か。



「誰か待ってるのかな?ね、聖夜!」

「……お、おう」


たぶん、美海と。

…なんて言えるはずもなく、適当に流した。


本当のところは、ただ悔しかった。




「……王子様だ」

「は?」

「えっ?あ…音弥くんのことみんなそう言うから……でも、あたしはそう思わないよ!!」

「……へぇ」



それにしても悔しい。

王子様が何なんだ。
カッコいいから何なんだ。

もう開き直ってやる!!



「希咲、ヤキソバ食うぞ!!ヤキソバ!!」