ギィー……

重たいドアを思い切り力強く押し開けた。


「音弥…!!」




全開になったドアから差し込む光が眩しい。

いつもより空が青く見える。

少しだけ吹く風が気持ち良い。

…――そんな中で、あなたの姿を見つけた。





「美海……?」


大好きな声。

今、いちばん聴きたくて、いちばん聴きたくない。


大好きな姿。

今、いちばん逢いたくて、いちばん逢いたくない。


でもわかってた。
音弥がいちばん……愛しいこと。



「なんで……?
…なんで先にどっか行っちゃうの?

悲しかったよ…寂しかったよ。ひとりぼっちは嫌だよ……」


素直じゃない言葉が溢れ出す。
言いたい言葉なんて、少しも言えてないのに……


だめだよ。
ブレーキをかけても止まらない。

迷惑かけるだけだって分かってるのに……




「あたし……「帰るぞ」


そう小さく呻るように言って、あたしのすぐ側を通り過ぎた。