2‐Aの教室。
音楽室。LL教室。
4階の廊下。

少人数教室。
相談室。教材室。
水飲み場……



音弥がいつもヒマつぶしに居る場所を捜し回る。

決して広すぎるわけではない校舎なのに、音弥がいないだけで何処が何処なのか分からなくなって。




「……ハァ…音弥…」




職員室。体育館。
ランチ用のテラス。
技術・工具室。
美術室。体育準備室。


校舎内の教室という教室を捜し回っても、どこにもいない……。

日頃の運動不足のせいか、息が上がって、足が重くなる。


もう無理、そう呟いて…

来賓室の前に置かれた、ふかふかのソファーに埋もれた。


「……気持ちいい」

普段ならこのソファーに生徒が座ると、とんでもなく怒られるんだけど。

怒る先生方も夏休みに入るから、もうすでにいない。


ため息をついて、壁にかかる校舎内案内図を見上げた。

目に入った、たった二つの文字。

「…音弥っ!!」


そうだ。
音弥はここにいる。

確かな確信を持って、あたしは駆け出した。