「……嫌…ッ」
どうしても嫌で、あたしは尚輝先輩から顔を背けた。
やっぱり……尚輝先輩とそういうのは、嫌だ。
「そ。それが美海ちゃんの気持ち」
不意に、尚輝先輩の手があたしの頭に乗っかった。
素っ頓狂な声を出したあたしに尚輝先輩は笑って
「今みたいにされて、嫌だって思わなかったら…好きってこと、じゃない?」
そう言った。
「まぁ、全ては心次第だけどね?」
そして、尚輝先輩は自分の席に戻っていった。
あれ、不思議と音弥の時みたいにドキドキしてない……。
音弥にキスされた時、どうしようもない位ドキドキしてた。
キス処か、傍にいるだけでも心臓破裂しそうなのに。
……ちょっと待ってよ。
これってもしかして、もしかして。
あたし、音弥のこと…
まさか……まさかね。
夏祭りまであと二日。
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