「美海ちゃん…えらく不機嫌だね」


尚輝先輩がそう言いながら、体育座りをするあたしの周りをぐるぐる回る。

そんなことは最早どうでもいい。


音弥に会うのが怖かった。
あの宿泊学習のバス以来、顔を合わせることもなくて今日まで来てしまったから。

会って何を話せばいいのかとか、どんな風に接したらいいのかとか。

今まで、普通に出来ていたことが分からなくなった。

あたしは音弥のことをどんな風に想ってるかも分からない。





「あの…尚輝先輩?」


尚輝先輩を呼ぶと、あっという間に現れてあたしの隣に体育座りをした。




「好きって…どんな気持ちなんですか?」


率直に尋ねた。
自分じゃ分からないから。

尚輝先輩はずいっと顔を近付けてくる。


「それは……」




だんだんと尚輝先輩の顔が近付く。

あと少しで唇と唇がくっついちゃうくらい……



やっぱり…