「聖夜達、何の用だろうね?」

「何だろうね~?」



おどけて真綾ちゃんを見ていたら、胸がキュンってした。

女のあたしでもドキドキしちゃうんだから、男の子なんてイチコロだよね。

そう考えたら、好きになる理由が分かったような気がした。



あたしもあれくらい女の子っぽかったらな……






「そういえば、真綾ちゃんの好きな人ってまだ聞いてなかったよね」

「……え…私は…」



声を詰まらせて俯く。

…あれ、あたし何か聞いちゃいけないこと聞いちゃった?




「……今は考えられないかな」



長い沈黙のあとに聞こえた言葉は、苦し紛れのサインのように思えた。

真綾ちゃんは悲しげに微笑んだ。





「ふふ。私のことは気にしなくていいよ!それより、岡山君の部屋って何処?」

「あれ?何処だろ…3602だから……」

「たぶんこれかなぁ?」



真綾ちゃんが指差した部屋には“3602”というプレートが掛かっていた。

さすが!と笑い合って、あたしたちは二人で恐る恐る部屋をノックする。



コンコン…