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「ごちそーさまでしたっ」



あたし達は、あっという間にカレーライスを平らげた。

少食の真綾ちゃんでさえも、普段より多めの一杯を食べ終えて満足のよう。



相変わらず負傷した指は痛むけれど、音弥とのこともあったので皆には言わないことにした。

話せるだけの勇気なんて、あたしは持っていなかったから。


幸いなことに、さっきの出来事を見ていた人はいなかった。






「あ、そうだ。真綾ちゃんと二人で出掛けてくるね」

「いってらっしゃーい」




千尋ちゃんは片手を上げて大きく振ってるけれど、光は仏頂面でイジケてる。


仕方ないんだから……。





「ひーかりちゃーん?」

「何よぅ」

「一緒に来る?」

「光はキューピッドになりたいんだもん。お邪魔虫にだけはなりたくないよぅ」



光らしいっていえば、そうなんだろうね?

あたしと真綾ちゃんは、満面の笑顔の千尋ちゃんと思いっきり仏頂面の光に見送られ、聖夜達の部屋に向かった。