「ちゃんと消毒しろよ」


頭にぽんと手をのせて、音弥はまた何処かへ行ってしまった。

残されたあたしは佇んだまま、早くなった鼓動が落ち着くのを待つ。



ドキン、ドキン




さっきまで音弥に触れていた指が熱い。
そこから熱を発して、あたしの全てを包み込んでしまうんじゃないか…って思えた。




「…ぉ…とや……」


ずるずる

熱を持った体はあたしの意思とは裏腹に、脱力させた。

ふっと力が抜けて、その場にへたりこむあたし。




何がなんだかわからない……。


この胸のモヤモヤも

視界を埋め尽くす音弥の笑顔も

耳の奥でまだ響く音も。




全部、全部。
苦しくてたまらないよ

あたしどうしちゃったんだろう……






ぶくぶく


あたしはまた、深い深い海に溺れていく

もうそこから一歩も動けなくて、身動きをするほど深みにはまる。


沈む

どんどん溺れて沈む



それは止まることはなく。