「聖夜に…真綾ちゃん連れて一緒に来いって」

「え?え?二人だけ?何それずーるーい」



光は一人で盛り上がってる。あたしはさっきの紙を取り戻してから、ホテルへと足を進めた。

美海の人で無しーっ、と叫んでるけど無視。



あたしだって知らないよ。
なんで真綾ちゃんとあたしだけなのかなんて……。

あの柴犬が考えることなんて、所詮人間じゃないから分かるわけないし。

てか、分かりたくもないし。




ホテルに入った時、音弥の姿が見えた。

ドキドキした。


体がほてっていく気がする。





一瞬……ほんの一瞬。
音弥とその周り以外の時間が止まったような気がした。

とても長くて……あたしは音弥の真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうになる。




この感情は何だろ…?
モヤモヤして、苦しくて……熱い。







美海、と千尋ちゃんに呼ばれるまであたしはそこから一歩も動けずにいた。