「美海」


ホテルに向かって踏み出そうとした足を遮られ、あたしは嫌味な笑顔で振り返る。


……またコイツか。



「……何?」

「今日の炊事終わったら、阪田連れて俺らの部屋来てくれねえか?」



真綾ちゃん?
なんであたしに頼むわけ?本人に直接言えばいいのに。

頭を掻きながら言う聖夜に少しだけモヤモヤする。

聖夜は真綾ちゃんのこと好きなのかな……。






「は?何であたしが」

「何でもいいから…お願い!……これ」




そう言って、あたしの手に小さく折った紙を落とした。

聖夜は、それ俺らの部屋だからと小さく言い残して去っていった。

…なんかムカムカする。




「みーなーみ♪何いい感じになっちゃってんの?」

「げっ……」



突如、後ろから光出現!
こやつの出現率高すぎると思うのはあたしだけ?

すると光は、あたしの掌に落とされた紙を取った。


「ちょっ…光!」

「なぁに?何かコレ怪しいものなの?」

「そういうんじゃないけど……」



あたしよりも背が高い光に敵うはずなどなく、あたしは観念した。

光の方はそんなあたしを見て楽しそうに笑ってる。