何がなんだかわからないあたしを置いて、音弥は学習室だかいう場所に材料たちを取りに行ってしまった。
「美海ちゃん」
そう呼ばれて振り向くと、キラキラした笑顔でおいでおいでをしている尚輝先輩。
なんか……嫌な予感。
かといって、行かないとまた何されるか分かったもんじゃないから、あたしは渋々近付いた。
「なんですか?」
「はい、作り方と図柄のプリント」
尚輝先輩にしては、珍しいくらいに先輩らしいことをされて、あたしは思わずポカーンとしてしまった。
え?疑問がたくさん浮かんで、でもとりあえずプリントを受け取った。
それでもやっぱりなんか、腑に落ちない。
「何か美海ちゃん、挙動不審だよ?」
「あ……いえ」
多少ふらつきながら、あたしは音弥との作業場所へ向かった。
まあ、尚輝先輩はわかんない人ってことでいっか。
もうそういうことにしちゃう!
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