尚輝先輩に蹴りをいれたのは、憎きアイツ。

岡山聖夜。



「だいたい、音弥に近づくお前が悪い」

「は?変な言い掛かり付けないでよねっ!
あたしはただ頼まれて行っただけで、好きで行ったわけじゃないの。分かる?」

「知らねーよ、そんな事情」

「だったら黙れっ」




むかつく。

なんか凄くむかつく。



心を見透かされてるみたいで、ひどく居心地が悪い。

その相手が聖夜だっていうこともむかつく。


あんたに関係ないでしょって言いたくほど、あたしの中に土足で踏み込んでくる。





「まあまあ二人とも、落ち着いて?音弥も帰ってきたことだし、仲良くいこうよ」


希咲ちゃんがあたしと聖夜の間に入って、言い合いを止めてくれた。

聖夜の方は納得いかない顔で、机を軽く蹴った。







「尚輝先輩、今日の仕事は何すか?」


あくまでクールに。
音弥が尚輝先輩に尋ねた。

音弥が動揺するところなんて、そんなの一生に一度も見れないんだろうな。