「早く帰ろうよ~」
「えーちょっと待ってよ。まだ日直の仕事終わってないんだってば!」
「まぁだぁ~?」
声が聞こえて、教室を覗く。
音弥のクラスには女の子が二人いて、音弥がいそうな気配はしない。
もう…音弥ってば、どこ行ったのよ?
「あっ!栗沢美海!」
「…え?」
教室から立ち去ろうとした時、自分の名前を呼ばれて驚き振り返る。
教室の中の女の子二人があたしに手を振っている。
「美海ちゃん…だよね?」
「……あ、ハイ」
「「キャー!本物だあ」」
女の子が二人してあたしに近づいて来る。
こ、怖い……。
反射的に護りの体勢に入る。
「そんなに怖がらないでよ~!あたし、東條麻菜。んでこっちが友達の来実。よろしくね」
東條麻菜と名乗った女の子は、来実という名の子の肩を持って笑った。
ん?
ちょっと待って……。
「東條って……」
「そ。あたし、音弥の双子の妹なの」
音弥……双子……妹。
繋がりそうで繋がらない。
なんかもどかしい。
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