「旦那様、坊ちゃま、お食事の用意ができました」
でんぐり返しをしそうになった横で、メイドの一人が言った。
無機質な感情のこもらない声の持ち主に、親父はありがとうと一言告げた
「なあ音弥。お前にちょっと相談があるんだがな……
聞いてくれるか?」
「仕方ねーから聞いてやるよ」
「麻菜にな、執事をつけようかと思うんだけどな……」
俺はあまりの意外さに
吹き出しかけて必死で堪えた
ちなみに麻菜は俺の双子の妹。
「で、どっちがいいと思う?」
小さい子が玩具店で選ぶ時のあの、無邪気な笑顔で親父は言う。
見せられた写真には、中年の男と、ハーフのような顔立ちをした聡明さのある男が写っていた。
そりゃ……
普通に考えて……
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