長い廊下を早足で進む。
シャンデリアが光を発して、眩しい
通り過ぎる部屋のドアを横目に俺は考えていた。
俺の両脇には数え切れないくらいの部屋の数がダーっと並んでいる。
あれ、この部屋入ったことあったっけ?
が、何十回も続いてそろそろ飽きてきた頃、やっと親父のいる書斎にたどり着いた。
コンコン…
「親父?入るよ」
大きな二つのドアの片方を開け、中に顔を突っ込む。
「音弥か?帰ってきたのか」
イスに座り机に向かう親父の後ろ姿が言った。
「ただいま、親父」
40代の親父とは考え難いくらいに、幼い笑顔でいっぱいだった。
「親父、いきなりどうしたんだよ?」
俺は親父に問い掛けた。
するとその言葉を待っていたようで、満面の笑みを浮かべた。
「まあ、話は後でするんだがな?」
ガクッ
おい!話は結局、後でなんじゃんか。
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