「「おかえりなさいませ」」
家の中にいる全員が口を揃えて言った。
「ただいま」
俺の家は、世間でいうお金持ち的な。
誰が建てたか知らないけど、豪邸と呼ぶに相応しい家に住んで、数えるのも面倒な数のメイドや執事を配置する。
典型的なお金持ちっていうやつ。
ものごころついた時にはすでに、俺はばぁやに育てられていた。
もちろん、母親はいる。
けれど子供に構うような性格じゃないから、俺の母親はばぁやだった。
「音弥お坊ちゃま」
名前を呼ばれて振り返るとばぁやが笑顔で立っていた。
ばぁやっつっても、ただ単なる執事なんだけど。
「お父様がお呼びでしたよ」
「親父?なんでまた……」
「なんでしょうね?フフフ」
ばぁやに持っていた荷物を渡して、俺はソファーに埋もれた。
ふかふかしていてベッドに寝ているような気になる、俺のお気に入り。
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