「栗沢美海は俺がもらう」
「勝手にやってろ」
「音弥も素直じゃねーな?」
「はあ?」
「どっちが先に栗沢美海を手に入れるか勝負しようぜ」
“勝手にやってろ”なんて言ったけれど、栗沢美海(本物)を見たら悔しいけど止められなくなった。
顔が可愛いのもあるかもしれないけど、性格が可愛い。
何言ってんだろうな、俺。
全然らしくねーし。
実際、俺は女遊びばかりしてた。
何股もかけて用がなくなったらすぐ別れる。
そんな繰り返し。
だけど……
美海を見たら自然と惹かれて、胸が苦しくなった。
何故か、心をひっかかれたみたいにひりひりしてて苦しい。
「あー……!ったく」
むしゃくしゃする心を落ち着かせて、家のドアを開けた。
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