あたしの言葉に驚いたように、目を丸くする尚輝に。

いつもあたしが泣いて仕方ない時にしてくれてた、秘密の魔法を不意打ちで返してあげる。




―ちゅ



「……ひか…り…?」

「これで分かってよ……鈍感」

「何だと?」



そうやって、真面目な顔して眉をキレイに寄せる顔もね。

あたしは十分知ってるよ。


こんなふうに、あたしの挑発にだって本気でノってくれるのは、あの茶髪の鈍感くんと……


目の前にいる、大好きな鈍感くんぐらいだよ。





「もう!ほんとに鈍感!

女の子が……あたしがっ、こんなことするのなんてもうないかもしれないよ?

その理由……わかんない?」

「……鈍感じゃねぇよ」




そう言って、意地悪く笑ったと思ったら……




―ちゅ



さっきのあたしに負けないくらい、優しく重なった唇。

そっと離れたと思ったら、真剣な顔して。






「…秘密の魔法、だろ?」