「…なお…き…?」
チュッと優しい音がして、尚輝の唇があたしの唇に触れた……
ドーン
また一際大きな花が空に咲いた。
心臓はドキドキ言ってて、顔は熱い。
唇から伝わる熱で、とろけちゃいそうだよ。
「……ひかり?」
そっと離れた唇があたしの名前を呼ぶ。
大好きな、その声で。
「“尚輝は……誰を見てるの?”……そう言って離れたよね」
あたしのわがままで、尚輝を傷付けた。
受験勉強で忙しい尚輝に寂しい、なんてずるい言葉で甘えて。
そして、寂しくて耐え切れなくなって別れた。
「あたし……本当にサイテイだよ」
「………光…」
「ごめん、ごめんね……」
尚輝の優しい手があたしの頬に触れる。
自分でも頬に触れると、涙で濡れているのが分かる。
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