「だって……美味しそうだったんだもん」
そう拗ねたように呟く尚輝を見てるたら、自然と微笑ってた。
無邪気な子供みたいな笑顔に胸がドキッてする。
……ん?
何、この違和感。
こんな気持ちなら、あたしまるで……
「……バカだよ」
……尚輝のこと好きみたいじゃん
「悪かったな、バカで……でも――」
「……でも?」
考えるような顔で空を見上げる尚輝を見つめる。
真っ直ぐで優しい瞳は……今、誰を見てるの?
届くわけない。
…届いちゃいけない。
あたしのこの恋心は、封印したんだから。
「……久しぶりに光と一緒に食べたくて、な?」
ウザいって思ってた花火の音と光が、今はこんなにも嬉しい。
背景に溶け込む尚輝がすごくカッコよくて、思わず見とれた。
だから、あたしは自分が嫌い。
「……ん?ごめん、花火うるさくて聞こえない……」
こんな風に可愛くない自分が嫌い。
聞こえなかったはずない……ただ信じられなかった。
.