「……音弥…っ」






校門の前に、確かに見えた。

何度も何度も“会いたい”と想った、何度も何度も追いかけた。


優しいあなたの姿。





その姿を見て安心したのか、力が抜けた。


「美海!!」


優しいあなたが向かってくるのが見えた。



待ち合わせの時間に間に合わなかったはずなのに……

あんなに傷付けたはずなのに……

ひどい言葉をかけて困らせたはずなのに……



どうして此処に……?





「…バカやろ……」


泣きそうな声と共に、ぎゅっと力強く抱きしめられた。

そのぬくもりは温かくて。


このぬくもりに何度、あたしは助けられたんだろう。





「…おと…や…音弥…」



無我夢中で抱き着いた。

あたしが抱き着いた分だけ、しっかりと抱きしめ返してくれる。


そんな優しい音弥に、あたしはずっと……







「あたし………ん…」